別れる決心 — 美と謎が交差するロマンスミステリー
2022年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した別れる決心は、パク・チャヌク監督が手がけた美麗なロマンスミステリー映画です。パク・ヘイル演じる釜山の刑事へジュンと、タン・ウェイ演じる謎めいた中国人容疑者ソレの禁断の愛を、息を呑む映像美と精緻な脚本で描いています。第42回青龍映画賞で最優秀作品賞・監督賞をダブル受賞し、英国アカデミー賞(BAFTA)でも複数部門にノミネートされた国際的傑作です。
映画のタイトル「別れる決心」は逆説的です。会うほどに惹かれ合いながら、その存在が自分を壊すと知りながらも離れられない——という人間の複雑な感情を、パク・チャヌク監督は視覚と音の細部に至るまで徹底的に映像化しています。タン・ウェイの神秘的な存在感は映画の核心で、韓国語・中国語・英語を駆使するソレのキャラクターは彼女以外には考えられないと多くの批評家が語っています。山と海という対極の自然が物語の2つの章を象徴し、ロケ地自体がテーマの隠喩として機能する点も高く評価されています。
撮影の裏側
**山清(サンチョン)**の山岳ロケは映画の第1章「山」の章の中心です。標高1,000m超の韓国の名山・智異山(チリサン)周辺で行われた撮影は、霧や天候の変化を映画的リソースとして最大限に活用しています。パク・チャヌク監督は「山の霧は検察官のようなもの——見えているのに捉えられない」と語っており、ロケ地の選定が映画のテーマと完璧に連動しています。
釜山の海雲台(ヘウンデ)ビーチは映画のラストシーンの舞台で、早朝の霧に包まれた海辺での一場面は監督が何日も天候を待ち続けて撮影した「奇跡のシーン」です。ソレが海の中へと消えていくクライマックスは、CGを一切使わない実写で撮影されました。潮の満ち引きのタイミングと霧の発生が重なる奇跡的な瞬間を捉えるため、撮影スタッフは早朝から何日も海辺で待機したとのことです。
ロケ地旅行ガイド
釜山・海雲台ビーチはソウルからKTXで約2時間30分(釜山駅)、そこから地下鉄2号線で約20分(海雲台駅)です。映画のラストシーンのような「霧と海の幻想的な光景」は早朝(6:00〜7:00)に見られることがあります。通常昼間は明るいリゾートビーチですが、映画を思いながら浜辺を歩くだけでも十分な体験になります。
山清・智異山エリアへはソウルから高速バスで約3時間30分(山清バスターミナル)です。韓国百名山の一つ、智異山は登山者に人気のエリアで、各種登山コースが整備されています。霧が多い季節(春・秋)に訪れると映画に近い雰囲気を体感できます。
ソウルの瑞来村(ソレマウル)へは地下鉄2号線または空港鉄道弘大入口駅から徒歩約20分またはタクシーで10分です。フランス人コミュニティが形成したエリアで、パリ風カフェやパン屋が立ち並ぶ独特の雰囲気があります。
ファンの聖地巡礼
カンヌ受賞後の国際的な注目により、別れる決心のロケ地には世界中の映画ファンが訪れています。海雲台ビーチでは映画のラストシーンに向き合う形での海辺の散歩が「映画巡礼の王道コース」として定着しています。「霧の早朝の海雲台」を目当てに朝早く訪れるファンも少なくありません。
映画の精緻なビジュアルを参考に各シーンのカメラアングルを再現しようとするファンも多く、インスタグラムでは**#別れる決心**、#ヘアジルキョルシム、#海雲台のハッシュタグで高品質な写真投稿が多く見つかります。パク・チャヌク監督の他の作品(オールドボーイ、お嬢さんなど)のロケ地と合わせた「パク・チャヌク監督作品巡礼」というテーマの旅行者も増えています。
周辺グルメ・見どころ
釜山・海雲台エリアは韓国屈指のリゾート地で、グルメ・ビーチ・ショッピングが充実しています。海雲台の**ミルミョン(小麦冷麺)とソトッポッコ(スープ入りトッポッキ)**は地元の人気B級グルメです。広安里(クァンアンリ)ビーチは広安大橋の夜景とともに楽しめる海雲台の隣のビーチで、カフェが軒を連ねるおしゃれなエリアです。
山清エリアでは韓方(韓国漢方)料理が名物で、薬用ハーブを使った滋養強壮料理が旅の疲れを癒してくれます。智異山麓には伝統茶園が点在しており、韓国緑茶の名産地として知られています。宿泊は釜山市内(海雲台・南浦洞エリア)の多様なホテルから選べます。2泊3日で山清→釜山と移動するコースも充実した旅になります。